SMAP解散、タッキー離脱。ジャニーズは一枚岩でなくなり、分断が深まった【宝泉薫】「令和の怪談」(2)
「令和の怪談」ジャニーズと中居正広に行われた私刑はもはや他人事ではない(2)【宝泉薫】
「結局、ジャニーズかよ、という声も聞こえてきそうだが、今年はやはり、選ばずにいられない。何がすごいって、おめでたとおくやみがごっちゃになって、この一大帝国の『終わりの始まり』が進行しつつあるのではという、そんな印象をかもしだしたことだ。
嵐の活動休止宣言と二宮和也の結婚、ジャニー喜多川の死と滝沢秀明引退にともなう新体制への移行。2020年を最後に、嵐の本格的再始動はもうないかもしれないし、カリスマ創業者を失った事務所がこれまで通りでいられるとも考えにくい。そろそろ、大激震が起きるのではないか。幸い、日本人の多くはこの帝国について、かなりの知識と感情を持っている。大激震が起きれば、また世間も盛り上がるから、来年以降も重大ニュースのトップになる有力候補だろう」
今思えば、この3年半後に、想像もしていなかった「大激震」が待ち構えていたわけだ。が、ここからしばらくはまずまず平穏だった。たしかに、ベテランを中心に事務所から独立していくケースも目立ち始めたものの、それは芸能界全体の流れと同一にも見えたし、むしろ世代交代というか新陳代謝が進み、ジャニーズアイドルは活性化しているようにも思えた。
実際、20年の『NHK紅白歌合戦』には史上最多の7組が選ばれている。発表後、Snow Manがメンバーのコロナ感染により辞退することになったが、それがなければ、白組出場歌手の3分の1を占めるところだった。

そんな時期、SMAP解散による痛手もやがては癒されていくのではと思えた出来事がある。20年11月の「森且行・日本選手権初優勝」をめぐる、5人の対応だ。
周知の通り、森は1996年にグループを脱退してオートレーサーに転身。そこから苦節24年での快挙について、飯島についていった3人も、この年円満独立していた中居も、そして木村も喜んだ。
「それぞれの選んだ道で、それぞれがつかむもの。今後も健闘を祈ります」
と、木村がコメントすれば、稲垣は「今年の漢字」を聞かれた場で「森!」と即答。
「もと、一緒に頑張っていた森くんが優勝したことがうれしかったですね」
と語った。彼らの心はまだまだつながっている、そんな気がしたものだ。
ところで、筆者は2016年の末『ありがとう!SMAP』(別冊宝島)というムックで「SMAPは『再結成』するのか?」という文章を書いたことがある。その可能性は限りなく低いとしながらも、だからこそ、実現すれば劇的なものになるのではということで、こんな妄想を繰り広げてみた。
――解散から●年後、木村以外の4人は事務所から独立し、それなりに活躍中。中居が音頭をとるかたちで再結成話が進む。木村はオファーを断ったが、オートレーサーを引退した森が参加して、解散時とは異なる5人での再結成が実現されることとなった。
その復活ライブのクライマックス、曲間のMC中に、
「ちょっ、待てよ!」
聞き覚えのある声。なんと、たった今、事務所をやめてきたという木村が合流を申し出る。かくして、奇跡の6人SMAPがそこに甦るのだった――。
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